2009年国内IT市場予測 | Technolog.jp - ICTウェブマガジン

2009年国内IT市場予測

IT専門調査会社IDC Japan株式会社(以下:IDC)が2009年の国内IT市場予測をとりまとめた興味深い調査結果を発表しています。これについては以下の10項目をポイントにしていました。詳細は調査結果をご覧いただくとして、それぞれの項目を見てみたいと思います。

① 国内IT市場はマイナス成長
企業の投資は、ITに関わらず低下傾向にあるため、これは必然的なものと言えるかもしれません。

② 仮想化サーバーとシステム管理ソフトウェアの拡大
仮想化は近年、企業が注目する技術であり、運用コストの削減やリソースの有効活用の手段になることは多くの専門家も訴えかけてきました。IDCでは、「統合的な仮想化システムを製品として提供するベンダーは、・・(中略)・・信頼の厚いSIerを、自社のパートナーとして迎え早期に成功事例を作る」としています。つまりマイナス成長の中でも運用費削減のための投資は行われ、仮想化システムベンダーと特定のSIerのつながりが強化され、SIerの中で格差が広がるとも受け取れます。

③ PCの急速な価格下落による主要ベンダーの事業撤退
PC市場が過当競争になっていることはまぎれもない事実であり、ユーザには有難い反面、販売者側にすればコスト削減を余儀なくされ、事業規模の拡大や業務提携等による原価の徹底管理に迫られています。本日の各種紙面でも取り上げられていた東芝による富士通のHDD事業の買収もそういったながれのひとつであると感じます。

④ サーバーとストレージによる処理集中化への回帰
これはすなわちシンクライアント(バーチャルクライアント)を意味していますが、情報漏洩等の観点からも大手企業ではクライアントデータのサーバ集中管理に着目をすることは間違いありません。しかし、初期段階にかなりの投資が必要になるため、①の現状を踏まえると2009年内に仮想化システム(サーバ)と並行して導入されるかは疑問視してしまいます。

⑤ クラウドコンピューティンへの加速
モバイルPCの利用拡大と、携帯電話向けアプリケーションの増加によるものであるとIDCは指摘していますが、これは納得できる見解です。現に昨年、ネットブックの売れ行きは大方の予想を上回り、スマートフォンやiPhoneの需要が不況下においても目を見張るものがありました。場所に囚われないビジネススタイルとクラウドコンピューティングには強いつながりがあり、企業のコストメリットの高いと言えるでしょう。

⑥ 部門単位のSaaS利用拡大によるIT統制見直し
ERPに代表されるように企業システムは一貫性が保たれてはじめて有効に機能するものだと思います。SaaSの知名度や利用頻度は昨年、飛躍的な伸びを見せ、今年も期待される分野ですが、部門単位でそれを行おうとすれば内部統制の観点からも問題が起きることは明白です。CIOなどITリーダーの存在はより一層不可欠で、その重要性が問われることは間違いありません。

⑦ セキュリティ市場に新技術投入
セキュリティ対策は年々強化されているため、これは満場一致のキーワードでしょう。

⑧ データセンターのグリーン化への取り組み
CO2の排出削減については、どの企業も積極的な姿勢を見せているので、データセンター事業者にとっては重要な取り組みの一つであることは間違いありません。サーバやネットワークには著しい性能向上が求められる中での取り組みには多大な企業努力が必要とされているでしょう。

⑨ 日本のITベンダーによる海外進出
ビジネスがよりグローバルになる中でITの統合ソリューションは必然的なものです。しかし、大規模システムを提供するベンダーまたはSIerは一部の企業であり、中堅規模のベンダーが介入する余地は想定し難いと言わざるを得ません。また、工数面では日本人SE・プログラマーよりも他国の方が安いため、企業は積極的にパートナーシップを模索し、国内の雇用情勢にも多かれ少なかれ影響が出るかもしれません。

⑩ ITベンダーのコンプライアンスへの対応
金融機関の融資条件にも組み込まれているコンプライアンスを実現するためにITベンダーの提案力はシステムの機能に止まらず、情報セキュリティが大きな要因になっています。これまでシステムオリエントの考え方でやってきたITベンダーも幅広い知識を必要とされています。

全体的に見るとITは新しい局面を迎えている感を受けます。これまではビジネスと技術の融合に曖昧な部分が多々ありましたが、2009年以降、より強いシンクロナイゼーションが求められ、一挙手一投足に意味を求められてきています。