マイクロソフトのウェブブラウザ市場戦略の一端 | Technolog.jp - ICTウェブマガジン

マイクロソフトのウェブブラウザ市場戦略の一端

現在、世界のウェブブラウザ市場を牽引しているのは間違いなくマイクロソフトの「(以下:IE)」です。その一方でFirefoxなどの他のブラウザも急成長を遂げ、IEはその地位を脅かされています。そこに追い打ちを掛けるように独占禁止法により新OS(Windows 7)では初期設定時に複数のブラウザの中から任意のものを利用者が選ぶという方向性で進んでいます。

当然、マイクロソフトはこれに対して危機感を持っており、IEの発展と普及のために試行錯誤を繰り返しています。同じIEの中でも複数のバージョンが存在し、IE6、IE7、そして最新のIE8の3バージョンが100%近いシェアを占めています。しかし、この中でIE6は技術的な問題が多く、マイクロソフトからも早急のバージョンアップを促しています。

残念なことにこのバージョンアップ作業は利用者自身が行わなければなりません。インターネットに精通した方であれば抵抗ありませんが、パソコンが苦手な方には面倒な作業と感じて、対応されていない方が多いようです。所詮、パソコンは何かするための道具であり、その目的を達成することに支障なければ利用者は面倒な作業は避けて通ります。何かの動機付けがなければIE6を無くすことはできないでしょう。

その布石ともなる出来事が来年にかけて起こりそうです。昨日のZDNet Japanの記事で「マイクロソフトは「Office Web」で「Silverlight」をどう活用するのか?」という内容を目にしました。

エクセル、ワード、パワーポイントなどのマイクロソフトオフィスの次期バージョンでは、ウェブ版とデスクトップ版の二種類が用意され、ウェブ版は無料。これまで数万円もしていたオフィスが無料になるのは利用者としては嬉しい限りです。しかし、これを利用するにはIE7以上でなければなりません。IE6の利用者は無料でオフィスを利用するのにバージョンアップを余儀なくされます。他のウェブブラウザでもウェブ版オフィスは使用可能ですが、IE以外を使用した場合、機能に制限が加わるようです。

IEのバージョンアップとは現在の最新ブラウザ「IE8」を意味しますし、機能制限を避けるため、利用者がIEに集中するという公算でしょう。

ブラウザという観点だけではマイクロソフトの行き先は決して明るくはありません。しかし、ここにオフィスや他のアプリケーションを巻き込むことによって利用者をIEへ誘導するというのは、総合ソフトウェアベンダーであるマイクロソフトだからこそできる技です。オフィスについては、OpenOffice.orgなどオープンソースも勢力を伸ばしてきているので、世界のパソコン利用者すべてがIEに移るわけではありませんが、今後は単体のソフトウェアではなく、複合的なソフトウェアとして市場争奪戦が繰り広げられていくでしょう。