薄利多売の時代 | Technolog.jp - ICTウェブマガジン

薄利多売の時代

小売を中心にここ数年、激しい薄利多売ビジネスが展開されています。1000円未満のジーンズや100円未満のビールなど、わずか5年程前には想像もできなかった現象が起こり、その流れは他業界にも派生しています。今回は、IT業界にフォーカスし、その要因と今後の展開を考えてみたいと思います。

まず、5年前を基準にどれくらい低価格化が進んだかと言えば、システム開発については最大半分以下にはなるでしょう。

大企業でのERPプロジェクトに上級コンサルタントが1か月コミットすると300万円~500万円というのもざらでした。プログラマーであれば70万円~200万円といった具合です。ERPプロジェクトは往々にして長期間に及ぶため、最低でも半年~1年、コンサルタントは2名~、プログラマーは5名~といった構成になるので、予算取りに最低でも6000万円程、平均で見れば億越えが当たり前になっていました。しかし、今では億越えのプロジェクト数は当時の半分にも満たないでしょう。

このような現象が起きたことには以下のような要因があります。

SOAの浸透

SOAはご存じの通り、ビジネスプロセスに合わせたプログラムのモジュール化です。例えば経理における仕訳のロジックは、業種単位で見ればそれほど大差はありません。以前、作成したプログラムをそのまま流用できるのです。これがモジュール化の典型です。少し前まで表面上、プログラムはゼロ開発が主流でした。「表面上」というのは、対クライアントへの振る舞いであり、実際、システム開発会社ではかなり前からプログラムはモジュール化され、汎用的に利用されていたのです。それがサービス化され、コスト削減手法の一環に使われ出したのです。

オープンソースの台頭

システム開発では、ソフトウェアをフレームワークとしてコスト削減を図ることがありますが、そのソフトウェア自体が数百万円~数千万円するために大幅なコスト削減は困難とされてきました。オープンソースは無料であるケースがほとんどです。以前は、信頼性が低い、トラブルが多いとの不評から敬遠されていましたが、最近では安定性や実績が増していることから官公庁・企業・教育機関でも導入を進めています。ERP, CRM, BIといったアプリケーションレベルのオープンソースも知名度を上げ、それをサポートする企業も増えていることからエンジニア単価の低下にもつながっています。

クラウドコンピューティング

ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、運用の全てが包含され、アウトソースされるサービスは企業にとってコスト削減の大きな立役者です。自社でシステムを抱えるには様々なリスクがあり、外出しにすることで人材不足や災害対策といった副次的な悩みからも解放されます。

今後の予想展開

システム導入の低価格化が進めば、価格競争に陥ることは小売業界でも立証されています。クライアントはより安く質の良いプロバイダーを探します。

実績とセキュリティの強化に伴い、クラウドの利用企業は増えていくでしょう。各リサーチ会社もクラウド市場の急成長を示唆しており、ソフトウェア販売を中心に行ってきたメーカーもSaaSに力を入れ始め、中小企業層をも取り込もうとしています。

また、クライアント側でもシステムの内製化に力を入れ、自社システムについては自給自足できる体制の維持に努め始めるはずです。

クラウドを提供できる企業は限られます。システム全般において高い知識と技術を持ち、M&Aも進み、力のないIT企業は淘汰され兼ねません。mixiやTwitterといったウェブサービスもサービスの享受という見方に立てばクラウドです。

これまでのシステム開発はクライアントの依頼に基づくプル型のサービスでしたが、今後のシステムはプッシュ型のサービスであり、それがクライアントに受け入れられるものでなければなりません。

コンサルタントも机上だけの話しではなく、結果を形としてサービスに表すことが必要不可欠となっていくでしょう。

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